飲酒と執筆

あまりに執筆捗らないのでメモを残してみる

昨日の続き

GJの今年の第1号から
'Geographcal distribution of 3He/4He ratios and seismic tomography in Japan' by Y. Sano and J. Nakajima
 タイトルのとおり島弧としての日本列島のヘリウム同位体比観測値を島弧下マントル地震波トモグラフィーとにらみ合わせた放談(怒らんといて).
 まず東北日本弧は火山フロントから背弧側100km以内にRa>2を越える観測点が集中し,それよか前弧側にも,背弧側にも無いと主張(ただし背弧側は北海道の3点しかデータ無く,またそれがなんか一列に並んでいて気色悪い).高いRaはトモグラフィーの低速度から主張される,partial meltを含むupwelling flowにより火山フロント下(および枝分かれしてもう少し背弧側)にもたらされる.
 で,西南日本弧になる訳だが,Fig.5はカラーをグレースケールにしたんだろうが,読み取れません.まず中国・四国から.火山フロント付近に高Raがあるのは同じだが,フロントから100kmぐらい前弧の四国MTLあたりに中Raの点がある.スラブのagingの効果も評価して,これは若いフィリピン海スラブ(深さ30-50km)からの脱水の寄与であると,フロント付近の高Raは深いところからのマントルupwelling(トモグラフィーの低速度域)がフィリピン海プレートのleading edgeの先から入り込んだものとしている.
 次に近畿.Fig.9も同様.何でこれらがグレースケールになっているのやら?いわゆるKinki Spotを中心に,前弧(といっても火山フロントが定義できんが)に高Ra,中Raの測定点がばらばらあるのが特徴.近年はフィリピン海プレートから脱水したfluidの寄与とする議論が多いが(non-volcanic deep tremorsと関連付けられる),スラブのagingの効果からは高Raは維持できんのでは,と考えて,フィリピン海プレートの裂け目からマントルupwellingによる物質が入り込んでいるんではないかとしている.
 しかしそうすると,その深部マントル物質由来成分をどうやって浅部地殻にもたらすのか?スラブ脱水流体に溶かせばいいのか?