飲酒と執筆

あまりに執筆捗らないのでメモを残してみる

忘れぬうちに

今日読み終えたので、メモっておこう。
ジョージ・ジョンソン『リーヴィット 宇宙を測る方法』WAVE出版

リーヴィット (グレート・ディスカバリーズ)

リーヴィット (グレート・ディスカバリーズ)

リーヴィット(1868-1921)というと、東京化学同人からでている「宇宙創世記」でセファイド変光星の周期光度関係を見出した人として、言及されているので知っていた訳だが、(職業)天文学者だと思っていた。ところが、実は天文台(の所長)に雇われた助手(もっと悪い言葉で’コンピューター’、すなわち安い時給で雇われて、計算やらデータ処理を行なう)であったことを初めて知りました。この本では20世紀初頭あたりにおいて宇宙の拡がりの認識がどのように変遷したかを、遠方の天体の距離推定が果たした役割を軸にして解説している。もちろんその距離推定でセファイド変光星の周期光度関係の果たした役割は極めて大きいのだが、リーヴィット自身の書き物等は多く残っておらず、タイトル等みると伝記の体裁ながら、学問の変遷についての解説が大部分である。以下、いくつかメモ。
(1)リーヴィットは牧師の家に生まれたが、家系的には学問にかかわった人が多くいた。ラグドリフ女子大を出て、25歳から天文台の仕事を断続的に行なった。女子大の入試や教科に言及があるが、数学が結構含まれていることに注意。科学系の科目はわずかしか受けていない、と書いてあるが、解析幾何学微分学を履修してA評価だと。
(2)長く上司であったピッカリングの他に、シャプレーが話の主人公的に出てくるが、あまり良い書き方をされていないなあ。銀河系の渦巻きの中で太陽が中心から外れていることを示したのはいいが、後は全部言っていることが全部外れていたし、それはその人柄からそうなったような書き方だ。
(3)ハッブルは改めて偉大であるなあと思わされた。ハッブルの法則なども、もちろんハッブルが見つけなければ他の誰かが見つけるような情況になっていたんだろうが、結局大事なところ(ハッブルの法則だけでない)を観測で慎重にきちんと押さえることができたのは、それだけ、何が重要かを見抜く目があったのだろう。