飲酒と執筆

あまりに執筆捗らないのでメモを残してみる

小さい本だが話題豊富

このシリーズを読むのは2冊目ですわ.

地球環境46億年の大変動史(DOJIN選書 24)

地球環境46億年の大変動史(DOJIN選書 24)

はじめの辺りぱらぱらと読んで,割とありきたりのことが書いてあるだけかと思いましたが,通読すると,話題豊富でわかりやすく説明されており勉強になりました.
おおむね順に新しい時代に向かって,地球の環境変遷上のトピカルな話題を取り上げてゆく.一応地質系のワタシらは,それらのトピックスのいずれについても,幾ばくかは聞きかじっているんだけれど,だいぶ頭が整理されるところがありました.例えば,3章の大昔の地球と炭素サイクルの話や,5章の氷期の話を主とする気候変動史,6章のスノーボールアースの話等々.
それにしても,傍証を積み上げて復元する,地学系は何でもそうだけれど,古環境の研究もなかなかdefinitiveに決まらないことが多くて大変そうだ.

これは,この手の和書の多くに共通のことなんだけれど,レファレンスが欠けているのがとても残念である.最後に緩うい参考文献(大部分ははっきり言って役に立たないと思う)が列挙されているが,それではだめなんよ.特に本書のような割と新しい話題が取り上げられているものだと,誰のどの論文で提唱された,という情報はとても重要だと思う.主要なものだけなら,注を付けて3ページくらいで収まるでしょう.

二〇〇八年九月、これよりもさらに古い岩石がカナダのケベック州北部で発見されたという論文が英国の科学雑誌『ネイチャー』に掲載された。
(58ページ)

わざわざ,こんな書き方しているのにねえ.

英書なら同様のものでも大概レファレンスを含むそこそこの注釈がついていることが多いから,一般向けの本だから,ということを言い訳にしてはいけないでしょう.このような,本の記述にレファレンスをつけない,という習慣がWikipediaJの駄目さ加減と実は関連していると思いますよ.