飲酒と執筆

あまりに執筆捗らないのでメモを残してみる

どうも私には...

ネット上でほめている記事をみて,また著者のblogも見て,わざわざ池袋のジュンク堂まで行って買ってきて読みましたよ.結局立ち読みしたときにみた,末尾の「付録:研究者の自己啓発とキャリア形成のための20冊」からうけた微妙な印象そのままの本でした.少なくとも付録は見てから買うかどうか決めた方がいいよ.

やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論

やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論

結局のところ,ビジネスマン向けの自己啓発やら仕事術だのなんだのを著者の視点から纏めた物にすぎない印象である.著者が安定した職を辞して,アメリカに渡った当座に勉強したキャリア戦略の考えに基づくとの事だが,「研究者」相手には,そっち方面の記載が少なくあまり役に立たない.仕事術系の本としては,筆者の具体的な実践例が足らん(プレゼンや英語の章は具体的やんと言う人がいるかもしれないが,それらは別に類書が山ほどあるジャンルで,わずかそれぞれ10ページほどの中で読ませるなら,何か一発すばらしいネタが必要でしょう).また,副題にあるような「根性論」は何も語られない.私が古くさい偏狭な日本人だからかもしれないが,「根性論」と言うからには,もっと血のにじむような(「重いコンダラ試練の道を」ってやつです),熱いメッセージや経験談を期待するんだが,バタ臭いドライな話ばかりでその点でもがっかりである.

まあ,私がこんなにネガティブな感想を持ったのはバタ臭い自己啓発やらなんやらが単に嫌いなだけかもしれん.でもその手のものには正直,教養を感じる事がなく感銘を受けない.「人生には2種類ある:失敗も成功もしない人生と,失敗もするが成功もする人生がある」なんて言葉に勇気づけられるような人は,読むべし.同じお医者様系の人が書いた物で,同じようにある種身も蓋もない内容でも,慶応に凱旋された眼科の先生のそれは,娯楽本として読める(面白い)のでそっちの方が好きです.