飲酒と執筆

あまりに執筆捗らないのでメモを残してみる

懇切に書かれている

ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)

ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)

ADIやら(これくらいは知ってましたが)ARfDやら略語で書かれる概念がガーッと出てきて,懇切に書かれているものの,真面目に追うと時間がかかります(山ほど出てくる略語は巻末に一覧が付されています).そんな訳で,結構斜めに読み飛ばしてしまいましたが,結局「ハザードと暴露の組み合わせがリスク」であり,暴露量は一般に極めて低い(諸基準値は相当に余裕を持って定められているし)ので,「現在の日本で食品添加物残留農薬が食の安全にとって問題だということを言っている専門家は信頼するに足りません(193ページ)」し,「実態に即した対応を考えるならゼロトレランスという考え方はとり得ないのです(79ページ)」ということが,詳しく実例に沿って説明されております.結局はいろんなものを食え,という結論です.選択肢が多くなるとリスクが分散する(137ページ)からです.そのリスクは,もちろん天然物の中にも潜むものです.
個別の話では,魚からくるメチル水銀の国による違いや,ビタミンのがん予防の話(臨床試験結果のまとめの表が出てたりする)あたりが興味深かったです.
でも,食の情報に惑わされるような人が「化学同人」の本読むと思えないなあ.情報を流す人が,読んどかんといかんのでしょうが,なかなか...
とまれ,このシリーズ結構面白い本が多いので(これ28番ですから,30冊ぐらい出たわけか),続いてほしいものです.