文献
実用的?
究極の文房具ハック---身近な道具とデジタルツールで仕事力を上げる
- 作者: 高畑正幸
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/09/16
- メディア: 単行本
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ここまでやりますか?というような極端な話も出てくるが,変に高いブランド物を扱う文具本の多い中で,もっぱら実用性本位で書かれていて,面白く読めました.
- 作者: 川畑のぶこ,やましたひでこ(序文)
- 出版社/メーカー: 同文館出版
- 発売日: 2010/12/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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筆者は断捨離して部屋が綺麗になったら,結婚相手が見つかったそうな(実用的).それに関して「片方だけの靴下と恋愛観」なんてコラムがあって,いわく,「私といえば,『結婚?いい人がいれば,できればいいなあ』(中略)『そのうち』,『いつか』という姿勢でした.まるで片方になったまま,次の洗濯をうつろに待つ靴下に対する扱いと,見事なまでに合致していました」.すごいたとえ話です.片方でも捨てないのなら洗濯しろよ.「ちなみに,断捨離をしてから,私の靴下は1足も離れ離れになっていません」.そもそも,普通,ええ大人が滅多に靴下片一方失くしたりしないよ.単にずぼらなだけではないか?「文具王」の同じ靴下を15足買ってみた(なにも考えなくとも必ず対の靴下が見つかる),のほうがずっと清々しい(やりませんが).少なくともノウハウが提案されている訳だし.
最後のページに小さい文字で「『断捨離』は商標登録です.個人的な体験の発信は自由ですが,商業・営業目的が伴う場合,やましたひでこの許可が必要です」だって.なんでNHKがわざわざ,商売ネタを,商売であることを伏せて(報道の皮を被せて)まで宣伝してやる必要があったのか.
お正月前後に読みました(1)
- 作者: 江川紹子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1992/11
- メディア: ハードカバー
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批判されているのは,事故以降のマスコミの対応である.完全に萎縮してしまって,避難勧告地域などに一切入らなくなったり,あまつさえ,少し変があったら,島原から一斉に逃げ出したり,自衛隊に写真撮れだのなんだの情報提供を頼ったりで,まともな報道がなされなくなった.さらにもっと卑怯な事柄として,読売、朝日新聞が相次いで,フリーのジャーナリストが立入り禁止地域内に入ったルポおよび地元のカメラ趣味の人が立入り禁止地域で撮った写真が週刊誌に載ったことを取り上げ,「警察が調査」等々と報道してそうでもなくとも忙しい警察を焚きつけたことが詳しく述べられ,批判されている.前者は取り調べが為されたうえで不起訴に.後者はお咎め無しになったようだが,他にもカメラマンらが取材に入った例があるし,地元の人も必要に迫られて入ることがあるにも関わらず,新聞が大々的に書いたこれら2件を除いて,スルーであったとのこと.筆者は後者の記事を書いた記者に突撃を掛けているが取材拒否,その上司に話しを聞いても堂々巡りでかわされる,ということで,さらに情けの無いことです.
というわけで,あまり「火山本」ではないが興味深いもので,絶版は残念.でも図書館には結構入っているし,古本も出回っているので,現状では探すのに苦労する情況ではないようです.
特に結論無し
- 作者: 高橋秀実 (たかはし・ひでみね)
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2010/08/24
- メディア: 単行本
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楽しく読みました.現在の相撲界への取材と,昔の資料の読解を行ったり来たりしつつの15章です.全般的には,相撲界の「なすがまま」の歩みが明らかにされている.そもそも「国技」であることには,特に根拠無く,明治42年に両国に相撲常設館が建設された折に,完成案内状に「角力は日本の国技」と書いてあったので「国技館」という名前になり,それゆえ「国技」になった,という脱力系の経緯が述べられている.その他現代のこと昔のこと様々述べられるエピソードはすべからく「呑気」なものであり,昨今の目を吊り上げての角界批判が如何に的外れなものであるかと言うことがよくわかります.ええやん,適当で.
十二章の行司の職責なども興味深い.場内放送も行司がやっているそうな.その他いろんな総務系の仕事(移動の際の切符の手配やらなんやらかんやら)も行司がやっていると言うのも驚き.偉い行司が式守伊之助と木村庄之助というのは何となく知っていましたが,現在木村家と式守家があるけれど,行司の序列が上がって行くと,木村家の人が式守伊之助になったり,式守伊之助が木村庄之助になったりするそうな(立行司のうち式守伊之助がNo.2,木村庄之助がNo.1の名前で,これらは,相撲協会が持つものなのでそうなるとのこと).なんちゅうええ加減さか.普通の伝統芸能系ではあまりありそうに無さそうなことでおます.終章で触れられる,呼び出しの仕事はもっと訳判りません.
筆者が「なぜ?」と言う問いを投げ掛けるのをいやがられる(「なぜ」などと考えたことがない.前からそうなってるから,そう)あたりも笑えます.
ほんまに,ええやん,適当で.
なかなか纏めにくいですが
「地質学の巨人」都城秋穂の生涯〈第1巻〉都城の歩んだ道:自伝
- 作者: 都城秋穂
- 出版社/メーカー: 東信堂
- 発売日: 2009/09/01
- メディア: 単行本
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遺稿をまとめられたとの事で,文体の不統一のみならず,後半は同じ内容の繰り返しが多いが,止むを得ない事でしょう.
幼年期から高校までの記述が興味深い.田舎での抑圧された生活,父との折り合いの悪さなど,ここまで書きますかという感じ.
父は私にかぎらず,近所のひとや,親戚のひとを罵ることもあったが,その言葉の鋭さや,罵りの表現の多様さは,彼が若い時に文学をやろうかと思った時期があったことの名残のようであった.私は,父の鋭い罵り言葉を毎日聞かされながら育ったので,それを浴びせかけられて嫌な思いをしていながらも,いつとなく,それに少しずつ慣れた.そこで,後年人を批評したりする時に私自身も鋭い言葉を使って,人をびっくりさせることがあった.
私にバカ士,もとい博士を出して下さった,故B先生が,何処かに(見つからない),ゼミ等での罵倒用語は都城先生の受け売りで,でも語彙の豊富さは及びもつかない,と言ったことを書かれていたように記憶するが,その源流がここにありましたか,とくだらないところで感心しました.
ともあれ,生い立ちの部分も,成城高校入学後の濫読,マルクス主義への傾倒なども、個人的な事柄を世の中の流れに埋め込んで述べられているところが,さすがと言わざるを得ず,また,読み出すと本を置けないところでもあります.
大学時代以降の部分は重複も多いが,厳しい筆致で当時の状況,周囲の人々への批判(もちろん良いところは良いと書かれているんだけれど)がなされており,思わずわくわくしてしまいます.
たとえば,小林貞一の日本構造発達史なんてのは、地質学をやっているとちょっとは聞いたことがあるわけですが,その中に含まれる,当時の固定観念と異なる見解を卓見と評価しつつも,その構造論はアメリカ留学時にマーシャル・ケイの独逸流地向斜説に基づくアメリカ大陸の構造発達史を学んだことに触発されたものであり,「日本に帰ってきてから後は考え方の上の進歩がなくなり」,プレート説も死ぬまで認めなかったと.本家のマーシャル・ケイはプレート説が出てきたら,それを取り入れ地史を考え直したのとは対照的で,「これが、三流の学者と一流の学者の違いなのでしょう」.いやー,バッサリですねえ.そのほかにも強烈なのがいっぱいあります.
坪井誠太郎の人となりの論評も強烈ですが(良いこと3分,悪いこと7分くらいか),印象に残ったのは,教室で買った文献やら,タイプライターやらを,こういうのは教授のために買うんや,と主張して,自分の部屋にがめてしまって,他の人に使わせなかったと.で、後年の坪井誠太郎は全然勉強してなかったので,ただ,がめていて意地悪して他人に使わせなかっただけ,と言うあたりかな.いましたねえ、そんな人.(以下いささか不穏当なので省略)そんなに昔の話じゃないよ.ちなみに坪井誠太郎の良いところとしては,若者が自分の判らないような新しいことに取り組もうとすることを嫌わなかったことが,述べられています.逆にそういうことを嫌い,足を引っ張った人たちの悪口はごまんと出てきます.
論文を系統的に獰猛に読んで読書ノートを作って云々,は参考になります,なんて書けません.凡人には真似できんでしょう.
小島丈児伝?の部分は前章までの繰り返しの当時の東大岩石学の様子に引き続き,幾人かの先人の仕事に対する評伝があり,小島丈児自身に関する記載は少なく未完のようである.広島大学で構造地質学の強力な学派を形成した,ということを高く評価する記述になっている.私らが学生時代に微妙に関係があった広島学派?に対する上記B師の態度には正直に言って違和感があったのだが,この辺の大先生の評価をひょっとして引きずっていたのか?と言うのは邪推というものでしょうか.
第7章「私の道」は岩石学やってる人間は見ておくべきものでしょう.第8章はご本人が書いたものでないのでパス.図を含めて正直やっつけ感は否めない.
初めの「総解説」をみて何じゃこれ、と思って買うのを止めようかと一瞬思いましたが,買って読んで良かった.編集している人の思い入れ,のようなものが現れているなかに違和感を覚える箇所は少なくないが,埋もれてしまいかねない原稿を公にされた功績を讃えるべきなのでしょう.
懇切に書かれている
ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)
- 作者: 畝山智香子
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2009/11/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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個別の話では,魚からくるメチル水銀の国による違いや,ビタミンのがん予防の話(臨床試験結果のまとめの表が出てたりする)あたりが興味深かったです.
でも,食の情報に惑わされるような人が「化学同人」の本読むと思えないなあ.情報を流す人が,読んどかんといかんのでしょうが,なかなか...
とまれ,このシリーズ結構面白い本が多いので(これ28番ですから,30冊ぐらい出たわけか),続いてほしいものです.